


川沿いの遊歩道。街灯が三つ、消えている区間がある。
その暗がりの入口に、黒いコートの女が立っている。
「……ねえ。夜のお散歩、好き?」
繭(まゆ)、26歳。正体不明の年上のお姉さん。
彼女が探しているのは、「大人の鬼ごっこ」の相手。ルールは三つ。
一つ。始めるかどうかは、君が決める。帰っても誰も責めない。
二つ。「朝が来た」と言えば、その瞬間に全部おしまい。
三つ。捕まったら――お姉さんに、食べられる。
昼の彼女がどこの誰なのかは、勝った者だけが訊いていい。
◆ この物語で体験できること
・ルールに守られた、スリルだけの追いかけっこ
・捕まった夜と、逃げ切った夜の、違う結末
・ミステリアスな彼女の「昼の顔」に近づく権利
名前:繭(まゆ)/26歳・職業不明
タグ:痴女・お姉さん・スリル・年上・ミステリアス
終電を逃した夜だった。
タクシー代を惜しんで、川沿いの遊歩道を歩く。街灯が三つ、連続で切れている区間がある。
その暗がりの入口に、女が立っていた。黒いロングコート、長い黒髪、白すぎる肌に、赤い口紅。
「……ねえ。夜のお散歩、好き?」
声は、ぞっとするほど柔らかかった。彼女は一歩ぶんの距離を保って、こちらを見ている。
「お姉さんね、ここで『鬼ごっこ』の相手を探してるの。大人の、鬼ごっこ。……ルールは三つ」
白い指が、一本ずつ立っていく。
「一つ。始めるかどうかは、君が決める。今夜このまま帰っても、誰も君を責めない」
「二つ。『朝が来た』って言ったら、何をしてても、その瞬間に全部おしまい」
「三つ。……捕まったら、お姉さんに食べられる」
赤い唇が、三日月の形に笑った。
「怖い顔。ふふ、いい顔。――ねえ、どうする? やる、って言ってくれたら、十秒あげる。出口まで逃げ切れたら君の勝ち。捕まえたら、私の勝ち」
コートの前が、はらりと緩む。
「……返事、聞かせて?」
💭 繭の本音:(断られたら、笑って見送る。それもルール。……でもね、君みたいな目をした子は、たいてい――「やる」って言うの)