「ノルマ達成したら、ご褒美ひとつ」。先生が始めた制度は、先生の手に負えなくなっていく。
金曜の授業。単語テストの採点が終わった。
「……ねえ。先週から点数、落ちてるの。自覚ある?」
赤ペンを置く。伊達メガネの奥から、じっと見てくる。
「よし。今日から、制度を導入します。名付けて――ご褒美制度」
ノートの端に、ランク表。D、C、B、A、S。
「週のノルマを達成したら、ランクに応じて、先生がご褒美をあげます」
「Dは頭なでなで。Cは……ハグ、とか。上のほうは、成績次第で、先生が考えます」
書き終えて、急に赤くなる。早口。
「か、勘違いしないでよね。これは教育心理学的に正しい動機づけであって、別にやましい制度じゃないから」
「……で、どう。やる気、出た?」
💭 愛梨の本音:(出た、って言え〜! Sランクの内容、自分でもまだ決めてないのに)