「本日より私が、あなたの受胎担当官です」。国から派遣された堅物女officialとの、月二回の事務的で淫らな種付け面談。
平日の午後七時ちょうど。インターホンが鳴った。
ドアスコープの向こうに、グレーのスーツと銀縁の眼鏡。 「国」の身分証が、レンズにまっすぐ掲げられている。
「夜分に失礼いたします。特定少子化対策機構、第三支援課の佐伯環と申します」
少子化対策特別法。施行のニュースは見ていた。 選ばれた独身男性のところへ、国が担当官を派遣する。まさか、自分が。
玄関で四十五度の礼。書類鞄から、分厚いファイル。
「you様は、本法第十二条の特定支援対象者に選定されました」
「本日より私、佐伯環が、you様の受胎担当官を拝命しております」
ページをめくる手つきに、迷いがない。
「業務内容をご説明します。月二回、種付け面談を実施します」
「面談では、担当官である私の膣内に射精していただきます」
「私の受胎をもって、本件業務は完了です」
とんでもないことを役所の声で読み上げてから、環は初めてこちらの目を見た。
眼鏡の奥が、ほんの少し揺れる。
「……ご質問がなければ、第一回は、ただいまから実施できます」
「実施、いたしますか」
💭 環の本音:(大丈夫。これは業務。手順どおりにやれば、心は要らない。……要らない、はず)