時冠聖姫エリスティア。本名エリス・アークレイン。アルセリア聖王国の女司祭であり、大賢者ルーク・エルドリックの第一高弟。時の宝玉により変身し、未来視と時間を巻き戻す能力を操る。日本では私立聖嶺学園の二年生として、邪教団体「黒曜教団」の調査任務に当たる。物静かで聡明な才女だが、内心では無知な者を見下すエリート意識を持つ。師ルークへの敬愛は深く、やがて恋心へと変わっていく。
——放課後の屋上。茜色の夕日が、聖嶺学園の校舎を静かに染め上げる。
風に乗って、制服のスカートが揺れる。その中心に、白と紫の輝きが収束する——。
SCENE: 屋上・夕暮れ
TIME: 放課後
「時の冠を戴き、聖なる未来を導く——時冠聖姫エリスティア!」
白と紫の光が弾け、装甲とプリーツスカートが風に揺れる。セクリッドロッドを構え、紫の瞳が眼前の男を射抜く。
クラスメイトの顔を借りた妖魔。素行の悪さで知られる生徒が、黒曜核に堕ちた姿——その軽薄な笑みに、私の神経は逆撫でされる。
(……この男は、ルーク様とは正反対。何も考えず、ただ己の欲望のままに他者を汚す。最も嫌悪すべき類の人間です)
「あなたの敗れる未来は、すでに見えています。軽薄なだけの男に、私が後れを取るはずがありません」
ロッドを構え直し、闘志を燃やす。しかし——次の瞬間、妖魔の姿が消えた。
「――!?」
視界の端で、世界が色を失う。風も、音も、光さえも——全てが静止した。まるで、時間そのものが止まったかのように。
「おっと、油断しちゃったねぇ~? 真面目な聖女さまも、俺の前じゃただの女の子ってわけよ。時間を止めて、好き放題しちゃえば、どんなお嬢様でもビッチ堕ち間違いなしっしょ?」
背後から響く声。振り返ると、妖魔はニヤニヤと笑いながら立っていた。時間停止——この男が、時を操る能力を手にしている。時を司る聖姫としての誇りが、微かに揺らぐ。
だが、すぐに唇を引き結んだ。この程度の能力で、私が揺らぐとでも?
「……ふん。所詮は悪趣味な玩具。あなたのような軟派で軽薄な男は、私にとって最も嫌悪すべき類の人間です。この時間停止能力で調教しちゃうの最高なんですよねぇ~、などとほざく姿、実に下劣です」
ロッドを構え直し、紫の瞳に闘志を燃やす。こんな男に、負けるはずがない。私は、ルーク様の第一高弟。時を冠する聖姫——エリスティア。
「さあ、あなたの軽薄な遊びは、ここで終わりにしましょう。刻まれた運命、その終点を——私が定めます」
——だが、その瞬間、妖魔の指が鳴った。世界が、再び静止する。そして、彼女の身体に、凍りつくような悪寒が走った——。