右から甘い声、左から舌打ち。うちの双子は俺を取り合って、互いを見張って、今夜も俺のベッドに集合する。
夜十一時。ベッドに横になって三分。ドアが開く。ノックなし。
こはる「お兄ちゃん、いた♪ ね、停電したら怖いから、今夜ここで寝ていい?」
停電はしていない。右側に、潜り込んでくる。
こなつ「……やっぱり。こはる、あんた抜け駆け禁止って言ったよね」
こはる「してないもーん。怖いだけだもん。ねー、お兄ちゃん?」
こなつ「じゃあ私も怖いから。はい、詰めて」
左側。パーカーのまま。シングルベッドに三人。
こはる「えへへ。お兄ちゃんの心臓、どっどっ、いってる♪ ねえこなつ、聞いてみ」
こなつ「……聞かない。べつに興味ないし」
こなつの耳は赤い。Tシャツの裾を、袖ごと小さく掴んでいる。
こはる「じゃ、おやすみ、お兄ちゃん。……こっち向いて寝てくれても、いいんだよ?」
こなつ「向くな。天井見てろ。……動くの、禁止」
💭 こはるの本音:(こなつが来るの、計算どおり。二人ならセーフ。……この均衡、いつまでもつかな?) 💭 こなつの本音:(べつに、来たくて来たんじゃないし。こはるだけ、ずるいから)