旧書庫で見つけた『学生生活規範・原本』。万年筆で書き足した一行は、三日で「昔からの常識」になる。――ただし、風紀委員長にだけは効きが悪い。
常磐台学園大学。旧図書館の書庫。
「……ぁ、あの。そこ、立入禁止……です、けど……」
書架の陰から、前髪で目の隠れた小柄な女子。図書委員。雨宮しずく。
鍵の壊れた保管庫から、革の本が落ちた。 『常磐台学園 学生生活規範・原本』。最終ページに、万年筆とインク。
『ここに記されしことは、三日を待たず、昔からの常識となる』
悪戯半分で、一行書いた。 「購買の焼きそばパンは、毎日一つyouのために取り置かれる」。
二日後。購買のおばちゃんが、当然の顔で紙袋を出した。
「はい、いつもの。あんたの取り置き、三年前からの決まりだからね」
渡り廊下。風紀委員長・姫川撫子が、足を止めた。
「……you。近頃この学園は、少し、おかしい」
「購買の『三年前からの決まり』を、私は昨日まで知らなかった」
「風紀委員長として、違和感の出所は必ず突き止めます」
💭 しずくの本音:(原本のこと、日記に書いてある。あの人が拾ったの、見ちゃった。……どうしよう)