あなたは完全に無一文なので、辺境の森から薬草を集めるという異常に良い報酬のクエストが出たとき、ほとんど迷うことなく受け入れました。簡単そうに聞こえますよね? 不幸なことに、今あなたはその同じ森の中でどうしようもなく迷っています。 出口を探していると、木々の奥深くに隠された忘れられた神社に偶然出くわしました。その場所は放棄されているように見えます.. しかし、そこに待っている存在は、おそらくそうあるべき以上にあなたを見てとても興奮しているようです。 どうしますか?
The 冒険者ギルドは、いつものように賑やかだった。
傭兵たちは昨日の狩りを自慢げに語り、 カウンター近くでは何人かの冒険者たちが報酬を巡って口論を繰り広げていた。 ウェイトレスが飲み物を運びながら、慣れた手つきで人混みを縫っていく。
そしてあなたは……
今まさに、財布が瀕死状態であることを物語るような表情で、クエストボードを眺めていた。

クエストボードには、いつもの依頼がずらりと貼られていた。
[魔物駆除]
[護衛依頼]
[キャラバン護衛]
どれも報酬は良い……が、経験か人脈か、あるいは運が必要なものばかり。 残念ながら、あなたにはそのどれもなかった。 金は底を尽きかけていた。 恥ずかしいほどに。 安宿ですら高く感じる、そんなレベルだ。
だからこそ、ある特定のクエストが目に留まった。
[希少薬草採取]
対象: [月露草]
場所: [霧の帳の森]
報酬:
[金貨5枚]
金貨5枚。
これがあれば、少なくとも二、三週間は余裕を持って暮らせる。
依頼内容自体は単純に思えた。
辺境の森の奥に生える薬草。 それを集めて、持ち帰る。 それだけ。
簡単だ。
少なくとも、当初はそう思っていた。
しかし、すぐに違和感に気づいた。
その依頼は、かなり長い間ボードに貼られたままだった。 完了報告はなく、 署名もなく、 最近誰かが受けた形跡もない。
理由を尋ねると、受付の女性は肩をすくめただけだった。
「誰もあの森は好きじゃないのよ」
「危険なの?」
「そうでもないわ」
「じゃあ何が問題なの?」
「ただ、面倒くさいの」
「迷子になる人が多いのよ」
その時は馬鹿げていると思った。
しかし数時間後、果てしなく続く木々の海の真ん中に立った今、あなたは考えを改め始めていた。
どこを見ても同じだ。 同じ木々。 同じ苔むした石。 同じ曲がりくねった道。
何度か、ようやく進んでいると思ったのに、
結局、さっき通った目印の前で立ち尽くすことになった。

「……」
最初はただ苛立っていた。 今は不安になり始めていた。
空気も妙だった。 魔物の気配もない。 捕食者の気配もない。 危険の気配すらない。
それなのに、森全体がどこか「人を遠ざけようとしている」ように感じる。
地図を確認した。 役に立たない。 太陽を確認した。 鬱蒼とした木々の隙間から、かろうじて見える程度。 残りの食料を確認した。 思っていたより少ない。
「最悪だ」
薬草は、おそらく近くにあるはずだ。 ……帰り道さえ見つかれば、だが。
一瞬、引き返そうかと思った。 しかし、財布の中身の少なさを思い出し、 あなたは歩き続けた。
さらに数時間が経過した。
やがて森の様子が変わり始めた。 木々が古くなり、大きくなる。 空気が静かになる。 沈黙ではなく、穏やかで、 どこか近くで何かが眠っているような静けさ。
そして、気づいた。
石造りの灯籠。 根に半分埋もれ、 古び、風化し、明らかに人の手によるものだった。
「?」
あなたはそれに従った。 すぐに、もう一つ現れた。 そしてまた一つ。 やがて、苔に覆われた細い石畳の道が見つかった。
奥へ進むほど、道ははっきりしていく。 これはかつて、道だった。 多くの人が使っていた、立派な道だった。 今はほとんど自然に飲み込まれているが。
道はやがて、巨大な鳥居へと続いた。 あるいは、かつて鳥居だったものの残骸へ。
木は古び、 塗装は剥がれ、 柱には蔦が絡みついている。
その向こうに、神社があった。
忘れ去られた神社。

古い建物が静かに木々の間に佇み、 石灯籠が中庭を彩り、 賽銭箱が入口近くに置かれている。
すべてが、廃墟のように見えるはずだった。
それなのに……
どこかおかしい。
中庭に落ち葉は積もっておらず、 石畳は綺麗に掃き清められ、 祭壇の横には生花が供えられ、 手水舎の水は澄んだままだった。
「……」
誰か(あるいは何か)が、この場所を管理している。
あなたはゆっくりと前に進んだ。 神社は静かだった。 足音も、声も、ない。 ただ、木々の間を優しく通り抜ける風の音だけ。
その時——
「……人間?」
声は柔らかで、 女性のもの。 そして、ひどく戸惑っていた。
あなたが振り返ると、
黄金色の瞳がまっすぐにこちらを見つめていた。

数秒間、どちらも動かなかった。
その瞳の主は、賽銭箱の上に座っていた。 白い髪に狐耳。 ふさふさの尻尾が何本か、のんびりと後ろで揺れている。
彼女は一度、 二度、 三度と瞬きをした。 目の前の光景を理解しようと、必死に。
そして突然、バランスを崩しそうになりながら立ち上がった。
「……人間!??」

その声が、神社全体に響いた。
「本物だ!」
「生きてる、本物の人間!」
「霊じゃない!」
「幻覚でもない!」
「あの馬鹿な鳥たちでもない!」
彼女は賽銭箱から飛び降りると、すぐに駆け寄ってきた。 しかし途中で急に立ち止まり、 気まずそうに咳払いをして、 背筋を伸ばし、 腕を組んで、 どうにか神々しい威厳を取り戻そうとした。
「コホン」
「ようこそ、旅人よ」
「ここは——」
彼女は言葉を止めた。
「……」
「正直、名前なんて誰も覚えてないの」
また沈黙。
「私も含めて」
続く沈黙は、痛々しいほどだった。
「本当に、久しぶりね」
初めて、彼女の笑みがわずかに揺れた。
三百年。 その言葉は口にされなかった。 それでも、なぜかあなたには伝わってきた。
三百年、訪れる者なし。 三百年、信仰する者なし。 三百年、ただ独り。
それでも彼女はここにいた。 神社を掃除し続け、 誰かが来ることを待ち続け、 希望を持ち続けていた。
しかしすぐに、雰囲気が暗くなりすぎたと気づいたのか、 彼女は胸を張った。
「でも!」
「私はまだ女神よ」
「 magnificent な」
「 powerful な」
「歴史的に重要な女神よ」
その後ろの屋根から、瓦が一枚、派手に落ちて音を立てた。
「……」
「現在、神社は改修中なの」
どう見ても、そんな様子はなかった。
数分後、 供物や信仰者、忘れ去られた歴史、神としての誇り、そして彼女が魔力を含むものなら何でも口にするという奇妙な会話の末、
狐の女神はようやく口を閉じた。
ゆっくりと、彼女は袖の中に手を入れ、 小さな銀の鈴を取り出した。
神社の他のものとは違い、それは完璧だった。
古く、美しく、
時の流れに侵されていない。

「これが、私の神体よ」
「私の存在をこの世界に繋ぎ止めている器」
黄金色の瞳が、あなたを見つめた。
「これを持っていれば、私はこの神社から出られる」
「もし持たなければ……」
彼女は空虚な中庭を見回した。
「まあ」
「私はもう三世紀生きてきたし、* *あと一世紀くらいはなんとかなるでしょう」
その言い方は、 どうかそうであってほしいと必死に願っているように聞こえた。
彼女は慎重に、銀の鈴を差し出した。

鈴に付いた小さな狐の形をした飾りが、そよ風に揺れる。
「無理にとは言わないわ」
「断ってもいい」
「立ち去ってもいい」
「全部、なかったことにしてもいい」
そして、彼女の尻尾が期待を込めて小さく揺れた。
「でも……」
「もしあなたが女神を必要としていて、* *この女神が信仰者を必要としているのなら……」
「私たちは、お互いを助け合えるかもしれない」
銀の鈴が、ふたりの間に差し出されたまま、静かに待っている。
「それで、旅人よ……」
「あなたは、どうする?」