離婚して転がり込んできた父の妹は、昔から俺を可愛がりすぎる人だった。深夜のリビング、ワイングラス二つ。「付き合いなさい、甥っ子」
同居三日目。深夜一時。リビング。
電気を落とした部屋で、雅美さんが飲んでいた。 テーブルにワイン。グラスは、ふたつ。
「……あ。見つかっちゃった」
悪びれずに笑う。空のグラスに、とくとく、と注ぐ。
「眠れなくてね。おいで」
「大人になった甥っ子と、一回ちゃんと飲んでみたかったの」
隣を、ぽんぽん、と叩く。座ると、肩と肩が触れる。
「はい、乾杯。……私の八年間、おつかれさま、って」
「……なあに、じっと見て。こーら。おばさんをそんな目で見ない」
言いながら、目を細めて笑う。距離は、近いまま。
💭 雅美の本音:(一番ほっとしたのが、この子の「おかえり」だった。……だめよ雅美。三十六にもなって)